目の病気

眼球はテレビカメラです。眼球で撮影された映像が電波となって視神経を伝わって、脳のうしろのほう(後頭葉)に送られます。その部分がテレビ画面の役割をして、ものを見る感覚(視覚)がつくられます。
この経路のどこか一か所でも障害されると見え方に異常が生じます。代表的な病気について簡単に解説します。

白内障
カメラのレンズにあたる水晶体がにごります。映像がぼやけて視力が落ちたり、光をまぶしく感じたりします。大部分が老化現象です。生活や仕事に影響が出てくれば、手術でにごった水晶体を取り除き、眼内レンズを挿入します。
緑内障
視神経の病気です。眼圧(眼球の内圧)が関係することが多い病気です。初期には自覚症状は無く、進行とともに視野が欠けてきます。できるだけ早期に発見して、治療を始めることが重要です。主な治療法はめぐすりで眼圧を下げることです。効かなければ手術することもあります。
突然発作的に眼圧が急上昇し、強い痛みや吐き気などを起こすタイプの緑内障があります。放置すると短時間で失明にいたります。きちんと検査すれば発作を起こすリスクの高い眼はわかります。原因には水晶体が大いに関係していて、時期をみて白内障手術をすれば発作の予防にもなります。
網膜剥離
カメラのフィルムにあたる網膜に穴が開いて、網膜がはがれて、放置すれば失明する病気です。突然眼の中で強い光を感じたり、目の前に黒い影がたくさん見えたりしたときは要注意です。ごく初期であれば、穴のまわりをレーザーでやいて塞げば治ります。広い範囲に網膜がはがれてしまうと手術が絶対必要です。
加齢性黄斑変性症
網膜の真ん中の黄斑部に腫れや出血を起こす病気で、ものがゆがんで見えたり、真ん中が暗くなったりして気づきます。早期に発見して進行を止めたり遅らせることが重要です。目の中に薬を注射したり、レーザーをあてるなどの治療法があります。
糖尿病網膜症
糖尿病で網膜の血管から出血したり、血管がつまって新生血管が増殖し、網膜剥離や緑内障を起こし失明に至ることがあります。黄斑部が腫れて視力が落ちることもあります。血糖のコントロールをしながら、レーザー治療や眼内に薬を注射したりする治療が必要になることがあります。
ドライアイ
涙の分泌量が減ったり、目の表面の涙が蒸発しやすくなることにより起こります。目が疲れやすくなったり、違和感を感じたり、時にはかえって涙がこぼれやすくなることもあります。
老眼
若い時の目はオートフォーカスのカメラです。レンズに当たる水晶体の厚さを変えることでピントを合わせています。歳をとると水晶体が硬くなり厚さが変わりにくくなり、ピント合わせがうまくできなくなります。この状態を老眼と言います。近視の人でも老眼になります。
麦粒腫(ばくりゅうしゅ)
いわゆる「めばちこ」のことです。まぶたのふちにある脂の分泌腺がつまってそこに細菌が感染して起こります。赤くはれて痛みを伴います。抗生物質で治りますが、時には切開して膿を出す必要があります。これに対して痛みがなく、さわるとしこりがふれるだけの場合があります。これは霰粒腫(さんりゅうしゅ)で、違和感がつよいときは切開して摘出することがあります。
さかまつげ
睫毛乱生症といいます。まつげが目にあたっている状態で、痛みがある場合には抜きます。
複視
両目で見てものがダブって見える状態です。左右の目の動きのバランスがくずれています。目の近くの腫瘍や炎症、時には脳腫瘍、脳梗塞などが原因であることもあります。

ここにあげたのは目の病気のほんの一部です。なにか目に関して異常を感じた場合にはできるだけ早く眼科を受診されることをお勧めします。重い病気が隠れていることもありますが、その症状が全然心配ない生理的な現象であることも多いのです。それを一般の方々が見分けるのは難しいことです。

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